KESL

(2008/11/30 新規作成)

アナログレコードは、機械的な溝に、音のデータが埋め込まれています。そのため、機械的な衝撃で、簡単にそのデータが変形してしまいます。ここに、その原因が何であったか今やもう記憶の彼方に行ってしまった、壊れたレコードを、デジタル技術で修復した、その記録を掲げます。

・・・とはちょいと大げさですが、要するに、傷が付いて、エンドレス再生状態になってしまったレコードを、とにもかくにも再生し鑑賞の対象として使えるようにした記録です。


レコードは、LPで、問題の曲は、その何曲目かでした。そのイントロをここに紹介します。




で、その問題の箇所は、こんな風に、傷で針が元に戻ってしまって先に進めない状態でした。そこで、そおっと、ブラシの先でカートリッジを押して、先に進めました。



この様子を、波形で次に示します。



真ん中あたりの、プラス側に同じ波形が連続して出ているところがそれです。

その場所を拡大したものを次に掲げます。



このままでは、未来永劫、レコードは終わりません。

で、そおっと押し出して再生を続け、曲の最後まで録音します。

その録音データを、サウンド編集ソフトで、切った貼ったをしちゃうわけです。


その問題の箇所を拡大した波形を次に掲げます。バシッと大きな傷が、波形でも確認できます。




このように、波形レベルの瞬時値まで読み取れます。上図をもっと拡大すると、サンプリングの1ポイント1ポイントまで値が見られます。



で、まぁ、どこまで細かくやるかで時間が変わってくるのですが、そこそこの妥協点で折り合いを付けると、傷の繰り返し部分を削除して、前後をつなげることができます。

こうしてつなげた結果を紹介します。


どうです、とりあえず、聞けるでしょ。よく聴くと、ほんのちょっとタイミングがずれているのと、低い周波数の成分が若干取り切れていませんが、まぁ元のままの傷で繰り返しエンドレスの状態に比べたら、大成功です。


ちなみに、このレコードの曲は、沢井忠夫作曲、「螺鈿(ラデン)」です。箏2面と十七弦の三部合奏曲です。二楽章で構成されており、ギズになったのはその第一楽章のまっただなか。

いやしかし、なんでこんなにひどい傷をこしらえてしまったのだったか、全く記憶がありません。

もしかして、記憶が残らないほど泥酔している時に、このレコードでも掛けようとしたか??

沢井さん、ごめんなさい。


ちなみに、この「螺鈿」という曲は、この演奏の他にも別バージョンのものもあって、同じ演奏家でも後期バージョンではまた違った雰囲気を醸し出しています。私はこの、ここに掲げたバージョンが一番好きですが。





アナログレコード修復について

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